2010.01.10 Sun
息子、交通事故に遭う。重傷。1日目。

6時30分
起床。軽い朝食を自分で用意して食べる。コーヒーをいつもの通り、多めに入れてNHKの天気予報を見る。
6時40分
息子が起床。「今日、最後の模擬テスト(我が県の全県業者テスト)なんだ。受けなくてもいいんだけど。前回が悪かったから、リベンジ。この結果で公立の志望校を決めなくちゃならないから。頑張ってくる」とのこと。「おぅ! 頑張れっ!」と声を掛ける。「何時に出るんだ?」。「7時半くらい」。
6時50分
審判服に着替え、上にウォーマーを着込む。嫁を起こし、車で10分の隣市・Sグラウンドに送るように頼む。車を昼間、嫁が使うため。
7時00分
家を嫁と出発。10分後、Sグラウンドに到着。昨日から新聞社旗大会を開催中。
7時15分
本部を設営。一緒に事務局を担当するS氏と打ち合わせをしながら準備。
7時35分
携帯が鳴った。嫁からだ。
「息子が交通事故に遭ったって連絡が来た。すぐに来て。場所はN地区の自動車ディーラーの裏っ」。
「事故? どの程度?」。
「わからない。私もこれから行くから。着いたら連絡する」。
7時40分
同じ役員のTさんに送っていただくようお願いし、現場に向かう。
7時45分
嫁から続報が入る。「大ケガ…。血だらけ…。今、救急車を待っている…。私は救急車に一緒に乗るから。車の鍵を現場の前の電気屋さんに渡しておくので、あなたは車で追いかけてきて。病院が決まったら、また電話をします」。
7時50分
ここを曲がれば現場…というところに来たら、救急車が出ていった。現場到着。車を降りる。アスファルトに多量の血。警官に「父です」と名乗る。警官はから中学校に連絡をするように言われる。事故状況を聞くとT字路で車に跳ねられたとのこと。現場に目を向ける。破壊された息子の赤いママチャリが転がっている。相手の車は、左のバンパーとボンネットがかなり凹んでいる。フロントガラスは全面に真っ白にヒビが入り、運転席側に大きな窪みができている。
7時55分
嫁から携帯が鳴る。「O地区日赤に向かっています。慌てず、ゆっくり来て」。生きているのか? との問には、「生きている。ただ、すごい錯乱状態。顔はすごく腫れ上がって血だらけ…。口が数カ所裂けて、上の前歯は全部なくなっている…。鼻も曲がっている…」。
8時10分
学校に連絡が付く。「自転車で模擬テストを受けに行く途中、事故に遭いました」と報告。警官に必要事項を話し、事故の相手とも話し、面倒を見てくれた電気屋さんにお礼を言って、車に乗り込む。カーナビでO地区日赤をセットし、エンジンを掛ける。「慌てず。ゆっくり…」。自分に言い聞かせてスタートする。
9時00分
O地区日赤に到着。ER待合室に嫁が座っている。「今、ERで処置中。意識はあったけど…。『お母さんだよっ!』と言っても『離せっ! 痛いっ!』としか言わなかった…。頭も強打しているみたいだし…。どうしよう?」。
10時00分
ERからストレッチャーに乗り、息子が出て来る。が、顔は見えない。麻酔を打たれているらしく、暴れてはいない。看護士が話掛けてくる。「3階のICUに入ります。ICUの前の待合室でお待ちください。処置が済めば、お呼びします」。
12時00分
待合室にドクターが現れる。「症状をお伝えします。顎骨の粉砕骨折、鼻骨骨折。前歯裂傷、顔面裂傷、そして微量の外傷性クモ膜下出血、全身打撲です。今のところ、『命』は大丈夫だと思います。今のところです」。続いて、看護士から「入院に必要なモノをここに書いてあります。準備してもらえますか?」。寝間着、ハブラシ、歯磨き粉、大判バスタオル等。嫁を残し、僕が買い物に。
13時30分
買い物を済ませ、再び病院に。嫁に、様子を聞く。「まだ呼ばれない…」とのこと。
14時50分
看護士が待合室に来て、「15時から、親族のみ面会できます」。
15時00分
ICUに入る。入って右側の3番目のベットに息子はいた。顔がすごく腫れ上がっている。一気に肥満したかのようだ。目は開いていない。瞼もこれ以上ないほど、腫れている。破壊した口元はタオルで隠されている。鼻も激しく裂けたのを縫ったようだ。口も鼻も壊れているから、首で気管を切開し、チューブを入れて呼吸をさせている。よほど暴れるとみえて、手足はベットに縛られている。医者の話は以下の通り。「先ほど、説明した通りです。クモ膜下出血は微量です。命は大丈夫でしょう。次の面会は19時です。その頃には、麻酔も切れて意識があると思います」。ICUに長居はできない。嫁が聞く。「1つだけ聞いていいですか? 私達2人とも一度、家に帰っても大丈夫な状況でしょうか?」。ドクターは笑顔で応えてくれた。「大丈夫です」。
この時、初めて「命は大丈夫なんだ!」と信じることができた。
16時30分
一度、家に帰り、諸所に電話連絡。その後、警察からの要請で現場の壊れた自転車を引き取りに行った。血はまだ、乾ききっていなかった。車と衝突したチョークでマーキングしてある場所から、血痕の地点まで歩測してみた。約20歩あった。車に自転車を積み、帰宅した。
19時00分
再びO地区日赤へ。たまたま数日前から義母が遊びに来ていたので、娘達の面倒を頼めた。
ICUに入る。3番目のベットの住人は腫れ上がった顔をしかめながら、暴れていた。余程、痛いと見える。嫁が声を掛ける。「お母さんだよ。分かる?」。暴れが一瞬だけ止まる。腫れ上がった目が微かに開き、瞳が嫁を探す。弱々しく頷きが確認できた。リュウの目尻から涙が流れる。「泣かなくていいから。ここにいるから。大丈夫だから」。僕は息子の右手を握る。「お父さんだ。分かるか。分かるのなら手を握ってみろ」。弱い力。だがシッカリと握り返してきた。ベットの反対側に回り、同じことを左手で試す。これも握り返してきた。「今度は足だ。グーパーを足でやってみろ」。言うや否や、足の指が開いたり閉じたりした。両手、両足、意識とも大丈夫だ。再び暴れ出す息子。ドクターから声が掛かる。「そろそろいいですか? 今日は痛み止めを打って眠らせます。明日は、もっとお話ができると思いますよ」。
今晩が頑張り所。まさに〝KSCタイム〟だ。
劇的な逆転を期待しているぞっ!
19時30分
待合室に戻ると、嫁が声を上げて泣き出した。大丈夫。アイツは強い。ここから逆転してくれる。何度も見てきたじゃないか、あきらめない気持ちの入ったヤツのサッカーを。KSCで鍛えたカラダと心があるのだから、大丈夫だよ。本当はそう言いたかったが…。出てきた言葉は一言だけ。
「頑張ろう。僕らも」。
そう言って、彼女を抱き締めた。
長い闘いになっても負けはしないっ!
- [2010/01/10 23:58]
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