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    1時限目「コクゴっ!」。 

     昨日、この天気がほしかった。


     中3サッカー選手諸君っ! 君達は自分が受験生であることを忘れてはいけませんっ。今日から新シリーズ「全てはサッカーのために~サッカーで勉強しちゃおうっ!~」で学びましょうっ。最初は、君達が最も不得意とする国語の勉強っ。テーマは「故事成語」。「故事成語」って何だか知らない人~っ? あっ、いいのですよっ、知らなきゃ覚えれば済むだけのこと。中国の古典を起源として、昔から伝えられてきた教訓話や〝いわれ〟のことを「故事」と言います。その「故事」をもとにした漢字数文字からなる慣用句が「故事成語」です。いいですかぁ~?

     (ビシッ! とチョークを投げながら)
     そこっ! デカイ坊主アタマっ! ウルさいっ!

     あっ、自己紹介が遅れました。私は国立サッカー勉強アカデミー国語科主任研究員、インチキ言語学者の「金田一コーチ彦」と申します。ドゾ、ヨロシク~っ。では。早速、授業に入りま~す。

     まずは、旬な、この言葉から学んでいきましょう。「捲土重来」。そう、サムログに書いてありましたね。KSCの諸君は、今すぐ、覚えなければいけない最も重要な言葉です。監督に言われてチンプンカンプンじゃ困ります。これはケンドチョウライ、もしくはケンドジュウライと読みます。知っているって? 「一度敗れた者が、再び勢力を盛り返し、巻き返しを図ること」? 

     ブッブ~っ! 不正解っ。それでは×です。

     捲土とは「土煙をあげるほどの激しい勢い」という意味です。ですから、「再び勢力を盛り返し」では、ピアニシモ、弱すぎます。もっと、フォルテシモ、す・ご・く・強くです。正解は「一度敗れた者が、土煙をあげるほどに凄まじい意気込み=燃える闘魂を持って再び必死に攻め返すこと」となります。中国=唐の詩人・杜牧が、漢の武帝(劉邦)と覇権を争った楚王・項羽の自害を悼んだ詩「烏江亭に題するの詩」に、「勝敗は兵家期すべからず、羞を包み恥を忍ぶ是男児、江東の子弟才俊多し、捲土重来未だ知るべからず」と詠んだことが由来です。この由来は大学・文学部レベルですから覚えなくていいです。

     使い方は「捲土重来を期す」となります。「期す」、ここ、大事ですよ~っ!
     捲土重来、覚えましたか~っ?

     次です。次は2つワンセットで覚えてください。「会稽の恥」(カイケイノハジ)と「臥薪嘗胆」(ガシンショウタン)です。

     中国の春秋時代(紀元前770年~同403年頃)の後期に「呉」という国と「越」という国がありました。たいへんなライバルで、いつも戦争してました。で、まず、呉王・闔閭(こうりょ)と越王・勾践(こうせん)が戦い、勾践が勝って、闔閭は死んでしまいます。闔閭の後を子供の夫差(ふさ)が継ぎ、次の呉王となります。呉王・夫差は「父の仇」を忘れないために、毎日、固い尖った木の薪(まき)の上に臥して寝ます。「この痛みを忘れてはいけない」と復讐の念に燃えるわけです。

     これが「臥薪」に当たります。

     そして、今度は夫差が勾践に勝ちます。勾践は会稽山という山に逃げますが、ここで捕まり、「夫差の馬小屋の番人になる」という屈辱的な条件を受け入れて和睦します。これが「会稽の恥」。転じて、「敗戦の恥辱や他人から受けた堪え難いほどの辱め」のことを意味するようになりました。実は、同じような言葉がヨーロッパにもあります。「カノッサの屈辱」です。まぁ、詳しくは今度、社会・世界史の時間に。

     「会稽の恥」、分かりました?
     使い方は「会稽の恥を雪(すす)ぐ」になります。覚えてくださいね。

     まだ、「嘗胆」が残っていますね。「会稽の恥」を忘れるなっ! と、今度は越王・勾践が頑張ります。その「会稽の恥」の悔しさを忘れないために、20年間、毎日毎日、干した苦い胆(きも)を嘗(な)め続けるという考えられないような努力をしたのです。

     これが「嘗胆」です。

     呉王・夫差の「臥薪」と越王・勾践の「嘗胆」を合わせて「臥薪嘗胆」。転じて、「目的を達成するためにキツい苦労を自ら課し、それにジッと耐えて努力を続けること」という意味を持つ言葉となりました。中国人、怖い? 冗談じゃありません。日本人の方が上です。日本は国を挙げて、「臥薪嘗胆」と言い続けたことがあります。ロシアがドイツ、フランスと手を組み1895年「三国干渉」を行った時です。そして日露戦争へ。そこであり得ないことが起きます。日本が〝まさか〟勝ってしまったのです。日本代表がスペイン代表に勝つみたいなものです。この勝利で日本は「三国干渉」という名の「会稽の恥」を「臥薪嘗胆」、雪いだことになります。

     「臥薪嘗胆」、覚えてください。
     
     サッカーの場合、本当は、この言葉を使うのは如何なものか? と僕は考えます。例え、今は違うライバルチームにいても、将来、同じチームになる可能性もあるし、本来、プレーヤーは、何より「サッカーを愛する仲間」ですからね。「切磋琢磨」くらいの言葉が丁度いいと思います。が、まぁ、もう中3です。使ってもいい言葉だとは感じます、「臥薪嘗胆」。ちなみに相手チームとトレセンなどで一緒になって一時的に同じ仲間となることは「呉越同舟」(ゴエツドウシュウ)と言います。これは、呉と越が敵対していたことを例にとって孫子が兵法の1つとしてを語ったのが語源です。

     それでは。レッツ・トライっ! 学んだ3つの「故事成語」を実際に使って作文をしてみましょう。はいっ! そこっ! さっきから寝てるデカイ坊主アタマっ! 作文してみてくださいっ! 

     「7月に行われたクラ選・関東大会。僕らは全国への切符が懸かった試合で緑チームに負けた。そして敗者復活の9位決定トーナメント1回戦でも赤チームに負けてしまった。これで『夏のJヴィレッジ』adidas CUP全国大会への道は絶たれてしまったわけだ。
     がっ! 『このままで終われるかっ!』が僕らの今の気持ち。まだ冬の霞ケ丘(国立競技場)がある。僕らは東京での敗戦と群馬での敗戦を会稽の恥として、捲土重来を期している。明日から、厳しい練習を積み続ける。高円で、全国切符を手にし、決勝で国立の芝を踏むこと。真の意味で、会稽の恥を雪ぐ、その日が来るまで。臥薪嘗胆、戦い抜くしかない」。

     よくできました。そのくらいサッカーも上手だといいのですが(苦笑)。
     みんな、ここ、要チェック。入試に出ること〝ある〟と思います。

     いいですかぁ? 燃える闘魂を持たなければ「捲土重来」ではありません。悔しさを忘れないっ! と思い続ける屈辱として位置づけないと「会稽の恥」ではありません。そして、自分達自身が自分達を追い込む努力なくして真の「臥薪嘗胆」とは呼びません。

     ここポイントですっ! くれぐれも間違えないようにっ!

     あっ! あと、忘れないでください。「捲土重来」「会稽の恥」「臥薪嘗胆」を始めているチームは多数あります。自分達だけが頑張っているのではないのです。どのチームも、そして個人も。他に負けない血の滲むような努力をすること。そのことだけが分け隔てなく君達全員の未来を開くのです。

     次回は社会・公民の予定です。
     今日、解散総選挙が決まったのを知ってますか?(笑)。




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