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    ONE FOR ALL,ALL FOR ONE. 

    のち 全少埼玉代表は片山とアルディに決定。頑張ってほしい。


     夕立の中、代車の灰色のセダンを自宅に向かって走らせる。

     「オレさぁ。まだ書初めの言葉、守っているんだよね。ほら、今年の目標を家族全員がそれぞれ書こうっ! って父ちゃんが言ってオレが書いたヤツ。」。「『全勝』だろ。でも、今日、負けたじゃん? トップリーグ、DPチームに0-1だったのだろう? その後、さっきまでやっていたGRチームとの練習試合も負けたって、さっき自分で言ったばかりじゃん? だいたい、練習試合はケッコウ負けているって聞いているけど?」。「うん。でも、オレが出た試合は負けていないんだよ」。

     雨足は強くなるばかりだ。ワイパーの速度を高速にしても視界は狭い。嫌な気分だ。

     「まさか、お前、『オレが出れば負けねぇ』なんてホザく気じゃねえだろうなぁ?」。「イヤ。そうじゃなくて。負けていないという事実は事実として、さ。あるわけじゃん?」。「悪いが。今のお前の言葉は、『僕はケツの穴の小さなくだらない人間です』としか聞こえなかったぞ」。

     赤信号に引っ掛かった。この信号は長い。サイドブレーキを引いてニュートラルで待つ。

     「あのな、お前の考え方は間違っている。昨日の決勝も今日の敗戦も、どちらも同じKSCの試合だ。自惚れるなっ! お前が出ていたら0-1じゃなくて、0-3で負けていたかもしれない。そうだろう?」
     
     目の前で稲妻が走る。雨音が激しくなる。

     「正直に話そうか。40人もいるのだから。各個人を比べれば、多少の力の差はあるとは思うよ。だけれども、3年生40人+2年生全員でKSC・U-15だろう? 勝っても負けても全員の結果だ。今日負けたってことは、相手のほうが強かったということ。KSCの力がまだまだ足りないということ。それだけのことだ。でも、それじゃイヤなんだろ? 誰が出ても必ず勝つ! になりたいのだろ? それが全員の目標のはずだ。そして、そうなりたいのなら、目標にに向かって全員が努力をするだけだ」。

     「それが〝チーム〟だろう?」。

     信号が青になった。ギアをD4に入れ、走り出す。

     「今日もそうだけど。誰かが何らかの理由でいないことは、〝ありえる〟ことなんだ。それで負けるならば、チームとしての力がまだ、足りないのだ。チームが強い! ということは、『替わりに別の人間が入ると、チーム力は落ちずに、いい意味でチームが変わる』ということだ。そして、その変化が人数分ある、それが究極の目標だ。そういうチームが全国で優勝するチームだと父ちゃんは思うよ」。

     向かうA市方面の空は明るい。気が楽になってきた。

     「負けたからといって。お前の書初めが意味なしになったわけではない。書初めは、そのままにしておけばいい。負けた理由をみんなで考えて。次はそうならないように、明日から、また『全勝』を目指して始めればいいだけのこと。つまらない自惚れは捨てて。個人が『負けてない』なんてケツの穴の小さいことは言わずに。チームの一員として、再び『全勝』を目指せ。できると思うよ、オマエラならば。控えの子だって、実はウマいのに、ちょっと自信がないだけなんだから。みんなが強い気持ちを持てば大丈夫。お前は、何よりも、早く、その目を治そうぜ」。

     「うん」。

     セダンはA川に差し掛かった。橋の上から、下流を望む。山一つない関東平野が広がっている。関東は広い。ここには強いチームがたくさんある。KSCもその中の1つに過ぎない。驕ることなく。一からKSC・U13~15全員が関東大会に向けての準備を始めてほしいなぁと強く願う。

     単なるイチ保護者の立場だが。チーム全体を力の限り応援するぞ。

     さぁ急ごう。帰って、楽しい夕食だ。娘2人が待っている。
     アクセル踏むぞ~!


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