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    野路の花。 

     初夏の陽気。


     猫の額ほどの庭の片隅に。一輪の花が咲いた。

     「持っていきなよ。ほら」と12月に小さな苗を、ある方から手渡された。「ピンクタンポポだよ。カワイイ花が咲くぞ。プランターでもいいけど、できれば、地に植えろよ。野草なんだから。放っておけば、それだけで咲く」。その方の優しい笑顔が眩しかった。

     全国クラスのサッカーは、この笑顔から生まれる。

     2人の娘と3人でじっくりと咲いたピンクタンポポを見る。見ているだけで力の湧く花だ。葉は普通のタンポポなのに、可憐。だが、女々しくない。真っ直ぐに屹立し、日に向かって一生懸命に咲いている。実に雄雄しい。寒い冬にしっかりと根を張り、葉を広げ、そして今、全力で咲き誇る。笑顔で、僕にこう語っているようだ。

     クヨクヨするなって。時季がくれば咲ける。しっかり根を張ってから、咲けばいい。

     我がチームのコーチを続けている。カラダの負担を避けるために楽なところに入った。HコーチとMコーチと一緒に4年生を見ている。よ~く少年サッカーのことを知っている2人と一緒だから、気苦労は少ない〝はずだ〟。カラダを第一に、ゆっくり進んで行きたいと思う。

     一緒にサッカーを〝遊ぶ〟4年生も、まだ冬の根を張る時季にいる。この子達への責任があると思ったのも続けている理由の1つだ。いい意味でも悪い意味でも個性的な子が多い学年。そういう子ども達のスポーツ少年団だ。余計なことを考える人がたくさんいるみたいだが、そんな方には強く言う。「何のためのスポーツ少年ですかっ!」。どうして、逆に手を差し伸べようとしないのか? どうして関わるまいと思うのか? 

     何のためのスポーツ少年団なんだろう? 
     いや、何のためのスポーツなんだろう?

     でも。くだらない大人の思惑など関係なく、我がチームの新4年生はシッカリと根を伸ばしつつある。まだまだ、ケンカも絶えなく、砂遊びをして、僕らコーチに向かって歯向かうようなヤンチャ君たちだが。少しづつだが、僕らの話が聞けるようになってきた。少しづつだが、ボールを運べるようになってきた。少しづつだが、ボールを止めれるようになってきた。少しづつだが、サッカーができるようになってきた。

     そんな彼らがとても愛おしい。

     僕は我がチームに残る。彼らとサッカーを楽しむために。僕は残る。スポーツの本来の意味を守るために。勝てなくたっていいじゃないか。彼らが少しづつでもウマくなってくれれば、それでいい。彼らが6年生になった時。小さくてもいい、庭の片隅でひっそりとでもかまわない。野草ながらの雄雄しさを持ちながら、可憐な花を咲かせられるように。カラダの癒えない僕も慌てることはない。いろいろと問題を抱える大石自体も慌てることはない。

     今は、ゆっくり、ゆっくり根を張ればいい。春がくれば自然と咲ける。

     またピンクタンポポが、優しく笑いながら教えてくれた。
     あの方の笑顔が見えた気がした。

    ピンタン



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