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    手塩。 

     朝は強い風。散歩は寒かった~っ。


     「ねぇねぇっ! 見て、見てっ! ホラ、ホラ~っ!」。嫁が朝っぱらから、小娘のような声を上げて、手に持ったものをみせびらかす。両手を合わせた掌の上には、鮮やかな深緑の塊が2つ。大きなブロッコリーだ。なんでも、近くのホームセンターで苗木を70円で買ってきて、庭の一角に植えていたらしい。

     全く知らなかった(苦笑)。

     《あっ、そう》で片付けるのは簡単だが、そうはいかない。熟年離婚の原因になってしまうかもしれないし(笑)。まぁ、結婚15年にもなれば、あしらい方もわかっている。「ふ~ん。ケッコウ、立派じゃんっ! スーパーで買えば100円はしそうだよね!? それだけ嬉しがるってことは、随分、頑張って育てたんだろう?」。嫁は得意顔で応える。「んなこと、アタシがするわけないでしょう? 地植だから、水もやらず。肥料? なしっ! ただ、植える時に、土を耕して腐葉土を混ぜただけ。農薬? 虫がついたら虫がつくだけ上手くできた! ってことでしょう? 毎日、覗いて、気にはしていたけど。それだって、『早く収穫したいなぁ~』って思っていただけよ」。

     ふむ。それはウマそうだ。
     サッカーも同じだな。
     昨日の教訓を活かして。これ以上、余計なことは書かない(笑)。

     夕食時。朝取りのブロッコリーが食卓に上がった。あの後にすぐ、さっと塩茹でにしておいたらしい。食べる。サクッ! うんっ、美味しい。歯応えもシッカリとしていて。自然の甘みがある。何より野菜自体の旨味が活きている。味オンチの息子でさえ、ウメェウメェとヤギのように食べている。「なるほど。手を掛けりゃいいってもんじゃないってことの手本だな…」と僕がつぶやく。

     すると。嫁が言う。「分かってないわねぇ~。手を掛けなくちゃいけないものもあるのよ。アタシが〝手塩〟に掛けて育てているもの知っている? 薔薇よ、バラっ! 『美しさ』だけは,手を抜いたら手に入らないものなのよ~」。そして、続けた。

     「ねっ? 化粧品、買っていい?」。

     そこかいっ! 結婚15年目でも読めなかった…(苦笑)。





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