FC2ブログ

    別名・臥龍先生。 

     いい天気。参道のイチョウが見事に黄色く染まっていた。


     「虎牢関」 「官渡」 「長坂 」 「潼関」 「定軍山」 「合肥」 「夷陵」 「陳倉」 「街亭」 「五丈原」 「段谷」…。

     上記を読んで、「えっ!? 肝心なアレがないじゃん?」と思った方は、かなりスゴイ。僕? 自分としては、かなり好きな〝ワールド〟ではあるが、この「何が足りない?」問題を唐突に出されたら多分、答えられない。ヒントを出そうか。全て中国の地名である。なに? そのくらいは雰囲気でわかるって? では、ヒントその2。全て、戦場となった地名である。「~の戦い」の〝~〟の部分が 「虎牢関」であり「官渡」となるわけだ。日本で言えば「関ケ原の戦い」の「関ケ原」みたいなものである。ヒント3。全て後漢末期から三国時代に限定した「~の戦い」の場所である。ヒント4。そこでの有名な戦いを題材にした映画が今、ヒットしている。ヒント5。映画の題名は「レッド クリフ」。

     漢字で書けば「赤壁」! それが答え。

     その話題の映画「レッド クリフ」を観てきた。三国志を知らない人、読んだことがない人でも十分に楽しめるが、予備知識としてカンタンに「赤壁の戦い」の説明をしよう。

     時は後漢末期。戦いの主役は3人。後に蜀を建国、皇帝となる劉備玄徳お抱えの天才軍師・諸葛亮。軍略にも優れた呉の大都督・周瑜。その2人の火花散らす激烈な外交の末に蜀・呉は連合軍を組むことになる。といっても、たかだか数万の戦力。向かえる相手は、もう1人の主役・魏の曹操(まだ、この時点では後漢の丞相だけれども)。その兵力は数十万(映画では80万)。決戦の地は長江沿いの「赤壁」。歴史に残る水軍戦が始まる。果たして圧倒的な力に智謀と勇気は通用するのか…。

     監督・脚本・製作:呉宇森(ジョン・ウー)。アクション映画の大家が創る「三国志演義」の中の最大のヤマ場を切り取った映画がつまらないわけがない。かなり面白かったッス。歴史は興味ないけどアジアンスターは好きっ! という方は。2人の主人公、呉の大都督・周瑜=トニー・レオンと諸葛亮=金城武を見るだけでも価値がある(笑)。かなり、イメージ通りの役柄だから2人とも。ただし、肝心の「赤壁の戦い」のシーンは来年4月公開の後編までお預け~。

     むっ! これは製作・配給元のエイベックス&東宝東和の策略か。
     持久戦に打って出たか?(苦笑)

     今回の「前編」のクライマックスは陸上戦。諸葛亮の仕掛ける「九官八卦の陣」とはいかなるものか? これから見る人のために明かさないけど、映画を見れば、「さすがっ!諸葛亮・字(あざな)は孔明っ!」と唸ってしまう。ちなみに甲斐・武田信玄が編みだしたと言われる「武田八陣形」=「衝軛(こうやく)の陣、鶴翼の陣、長蛇の陣、雁行の陣、方円の陣、魚鱗の陣、蜂矢の陣、偃月(えんげつ)の陣」も元は孔明の作った「八陣の法」=「地陣、鳥陣、風陣、虎陣、竜陣、天陣、蛇陣、雲陣」だったりする。地形、風向き、気象、兵力等の全ての条件を鑑みて最良の策を選択、それに従っての陣を敷く。諸葛孔明、恐るべし。

     現代に生きていれば、システムに精通した名監督になったこと間違いなしっ!
     ふぅ。やっとサッカーの話になった(苦笑)。

     ただし。どんなに智に長けた監督がいても。その戦術・システムをアタマでしっかりと理解し、それを実行できる選手がいなくてはいけない。残念ながら、試合という闘いは「机上の空論」通り進むものではない。想像と現実のギャップを体感しながら、実質に沿った形を見出して作戦を遂行していくのは勇猛な選手なのだ。勇猛な選手なくして、名軍師は生きてこない。

     孔明の主君・劉備玄徳の下には歴史に残る猛将がいた。関羽、張飛、趙雲、黄忠、馬超、姜維、魏延…。彼らがいたから諸葛亮は諸葛孔明になり得たし、孔明がいたから彼らが後世に名を残す猛将になれた。劉備も含めた全員がいたからこそ、孔明の「天下三分の計」に従って、小さいながらも「蜀」という国家を建設できたのだと思う。

     今。極東の「JAPAN」という小さな島国のサッカーを考えると。多少ではあるが勇猛な選手は育ってきている感じがする。小さい頃からサッカーという競技を経験し、競争という闘いの中で技を磨き、勝利という褒賞でモチベーションを上げ、名のある将軍に育つ環境はできつつある(その環境が最良のものであるかどうか? は別にしてだけれども)。

     でも。諸葛孔明がいない。軍師ですら、生まれる環境にはない気がする。

     名選手=名監督ならず。戦場で戦かうことが苦手であっても、軍師としては輝くだろう才能の育成。ライセンス取得制度ではなく、教育としての指導者育成。前キャプテンの言った「ミッション」を現実にするためには、そんな学校の設立も民間ベースではなく、サッカー協会主導で考えてもいい時季に来ているのではないだろうか? 

     ただ…。サッカーどころか国のトップが「ホテルのバー巡り」をしているようでは…。
     劉備は常にワラジを編み、庶民目線を忘れませんでしたよ~っ!

     映画は、「県民の日で学校は休みっ! KSCもOFFっ! でも遊ぶ彼女はいないっ!」という息子を連れて行った(僕は所用で有給を取っていた)。さいたま新都心の劇場を出て、2人で氷川神社の参道を歩きながら、三国志の世界の楽しさ=歴史の楽しさを一緒に語った。机に向うばかりが勉強ではない。映画1本を見るのも大事な勉強だと僕は思っている。勉強か…。そういえば、もうそろそろ期末テストではないのか? コイツは。「オマエ、期末はいつからなんだ?」「うん? 来週だよ」「えっ!」…。映画なんて観ている場合じゃないじゃん!? いいのか? よし、ここは善意に解釈してやろう。確認もせずに誘った弱みが僕にもある。つまり、だ。息子よ、オマエは自分を追い込んでいるんだな? だとすれば、それは、

     見事な「背水の陣」。おみそれしました(苦笑)。


    コメント

    コメントの投稿















    管理者にだけ表示を許可する

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    https://halusaka.jp/tb.php/576-2946ebd8