2008.06.01 Sun
父からの手紙。

息子へ
久々に君の試合を見に行った。メトロポリタンリーグU-14・湘南ベルマーレ戦。場所はH市Rグラウンド。スコアは、2-5(1-4、1-1)。〝残念〟だ。結果が? いやいや、決して満足できる結果ではないけれど、相手はJクラブだ。このくらいのやられ方をすることだって、たまにはある。結果自体は父的に言うと、ちっとも〝残念〟ではない。
〝残念〟なのは。君のサッカーに対する思いが僕に伝わってこなかったことだ。
1失点目。「取り返そうっ!」。いつも通りの大きな声が聞こえた。2失点目。多少、トーンダウンをしたが、まだまだピッチに響く声だった。3失点目。黙って、小走りにキックオフでのCBポジションに戻った。4失点目。うつむき、歩いて位置についた。
なぜ? なぜ心を折る? なぜ? 下を向く?
4点取られたのは前半だ。まだ、後半の35分があるのに…。4点取られたら5点取り返せばいい。簡単とは言わないが、そう思えばいいことだ。なのに…なのに…。なぜ、下を向き、絶望して歩く? 君の心の強さはそんなものか?
ここでハッキリ言っておこう。もう中2なのだから、多少は、親の本音を聞いてもいい年代だろう。父はサッカープレーヤーとしての君には何の期待も寄せていない。ストレートに書くと「ムリっ! というか、ハナから箸にも棒にもかかっていない」と思っている。そりゃそうだろう。我がチームーのコーチとして、KSCの父兄として、あまたのチームのスッゲェ才能を持つ子どもを「イヤッ」というほど見ているのだから。ただ。それは「父」が思っていることだ。「君」が思うことは別であって全然、かまわない。
「ふざけんな! 勝手に思っていろっ! 何があっても、プロになってやるっ!」。
そう叫んで、プロを目指すことは君の自由だ。何があってもくじけない、何があってもあきらめない。その心の強さと情熱だけが君の願望を、もしかしたら現実に変えていくことができる原動力だ。たとえ、その願望が他人から見ると、すごく滑稽なことだとしても。笑いたいヤツには笑わせておけばいい。父がムリと言うならばムリといわせておけばいい。君の道は君が切り開いていくしかないのだ。
だから。裏を返せば、今日の試合は〝残念〟だった。
そんな君の思いが伝わってこなかったから。
帰りの車の中で、君は父に言った。「帰ったら、髪を切ってくれ」。ん、その気合の入れ方は父は嫌いではない。だけどな、息子よ。その前に、やることがあるだろう。練習時のアップから全力でやること。どんなツライ練習も決して手を抜かないこと。ダラダラ練習をしている友がいたら、遠慮なく叱咤すること。落ち込み、悩んで自信を失いつつある友がいたら激励し、ともに、また頑張ること。どうやったらウマくなれるか、考えること。どうやったらチームが勝てるか、常に考えること。試合になったら、高い集中力を持ち120%の力で闘い続けること。試合が終ったならば、負けても勝ってもチームとして控えも含めて全員のプレーヤーだけで反省をすること。家に帰ったら、個人としてサッカーノートを書いて次に備えること。そして、
決して、心を折らないこと。決して、あきらめないこと。決して、下を向かないこと。
そのことを忘れないために、髪を1厘刈りにするのならば。よろこんで刈ってやろうじゃないか。ただ、負けて悔しいからor気合を入れるために刈ってほしいというならば。父は君の頭を刈ることは2度としないっ! 自分自身のために妥協なくサッカーをやれ。自分たちのチームのために驕りなく全員でサッカーをやれ。一人一人が考えて、勝つために戦い抜けっ。
サッカーをやらされるな。たとえ、父であっても。たとえ、コーチであっても。
闘うのは〝君自身〟だ。
負けゲームだとしても。君の思いが伝わる〝幸せ〟なゲームが父は見たい。
見せてほしい。君なら、できる。
- [2008/06/01 23:47]
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