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    ダンディズム。 

     桜は散った。


     ある人と「カッコイイとは? 談義」をした。その方、曰く。「一度、抜けたチームに戻るのはカッコ悪い」。僕は反論。「好きなことを続けるのにカッコ悪いも何もない。あるのは、競技を続けられる環境への感謝の気持ちだけ。『上のレベルに行きたいっ!』というのならば話は分かるけど。戻るとか、移籍とか、有名チームでプレーをすること自体とかに『カッコイイ』『カッコ悪い』なんて価値付けするのはどうなんだろう? そういうことを言うことのほうが、『カッコ悪い』よ」。

     どちらが正しいはない。ある方の「散り際の美学」の気持ちも分かる。僕の「泥臭くあきらめない美学」も自分では最高のものと信じている。もう1度言う。どちらが正しいはない。だけれども。1つだけ真実がある。それは、

     「男は誰でも美学を持っている」ということだ。

     そう、僕も上記の通り、美学を持ってはいるのだが。これが一流と呼ばれる人になるとスケールが違ってくる。そこに生き様が写されてくる。長嶋茂雄、然(しか)り。王貞治、然り。イチロー然り。小栗旬クン、然り。サマーズ三村、然り。サッカー界に目を移し、中澤、然り。川口、然り。記憶に新しいところで。中田英寿、然り。NO1チームM監督、然り。みんなが一流ならではの自分の美学を持っている。

     で。その一流の美学が言葉や行動に表れると、これにフツーの男どもは、それにシビレちゃったりする。代表例を挙げよう。高倉健=「自分は不器用ですから」。本田宗一郎(本田技研創始者)=「ホンダは絶対に負けない。なぜなら勝つまで戦い続けるからだ」。

     あぁ…シビれる…。ある種、エクスタシー…(笑)。

     男の美学と言ってしまえば、かなりステレオタイプな言い回しだけれども。できることならば、僕に関わる子どもたちには、自分の美学を持って欲しいと思っている。息子にも。そして我がチームの子どもたち全員にも。えっ? そんなナルシズム、子どもたちに教えるなって? では、男の美学の塊(かたまり)とも言えるスーパースターのエピソードを紹介しよう。これを読めば、アナタも気が変わるはず。きっと男の美学の虜(とりこ)だ。

     以下。全てキング・カズの話。

     エピソード1
     時はJリーグ元年。名古屋の焼肉屋での出来事。北沢らのヴェルディの選手と数人の女の子と食事をしていたカズ。そこへ他の席にいたサッカー少年が駆け寄った。「サッカーをやっているんです。憧れなんです。握手してください」。カズは席を立ち、少年の側に座りこんだ。少年と同じ目線になるためだ。「サッカー少年、頭はいいか?」とカズ。少年がうなずくと、「そうか。頭がいいヤツはトップ下に向いている。カリオカ(ラモス)のようにね。頑張れ」と優しく握手しながら、少年に微笑む。そこに声が響く。一緒に食事に来ていた連れの女の子の声だ。「ね~っ! まだ~っ?」。露骨な声だったという。カズは振り返り、言った。

     「うるさい。オレ達は、今、サッカーの話をしているんだっ!」
     
     エピソード2
     これもヴェルディ時代。人気絶頂の武田に群がるファン。「サインをくださいっ!」。しかし、武田は「ウルサイっ」と通り過ぎる。それを見ていたカズ。ファンのところに行き、「僕のサインでもいい?」と言いながらサインをしたあとで一言。

     「これからも武田選手を応援してね」。

     エピソード3
     里帰りの度に、近所の老夫婦がやってるテーラーでスーツを仕立てるカズ。どのイタリア製スーツよりもいい着心地だと話す。子供の頃、その老夫婦によくアメをもらっていたと話すカズ。そして続けた。

    「もらったアメと同じだけの数、同じだけの色のスーツを仕立てるよ。俺がサッカーを続ける限りね」。
     
     や、やばい…。書きながら涙が出てきた。こうなりたい! と今でも思うが、つまらない自我や見栄や欲望が邪魔をする。嗚呼っ…絶対になれない自分が悲しい。。。せめて、息子は…と親のエゴと分かりながらも思うってしまうのだけれど。これが、うまくいっていない(苦笑)。よしっ! 一念発起っ! 息子に〝男の美学〟を再教育しよう! そう思って、ヤツを呼び出した。まずは、男をどう考えているか? 聞いてみよう。オイッ。男は…に続く言葉を言ってみろっ! 「うん? 男、男ねぇ…。あっ! わかったっ!」

     「男は米っ! 米を食えっ! でしょ?」

     ふむ。その美学、父は嫌いではないぞ(苦笑)。


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