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    神格化。 

     晴れではあるが、先週の雪でグラウンド荒れまくり。


     僕は神社仏閣マニアである。ここ7~8年は少年サッカー中心の生活を送っているので、なかなか神社仏閣ツアーに行けないが、その前は暇を見つけては「××県の○○神社に行こう」「△△県の□□寺はいいらしいぞ」と地図と歴史本を片手に出掛けていた。特に好きなのは「人を祀った」神社。なぜなら、そこには「人そのものの歴史があるから」だ。寺にも歴史はあるが、それはあくまでも寺の歴史。祀っているのは、「仏陀」をはじめとする仏教の神様オールスターズ。誰が建立したという記録はあるが、個人の歴史はほとんどないといっていい。

     法隆寺を建立したのは聖徳太子。でも聖徳太子を祀っていないでしょ。

     日本人は本当に人を祀ることが得意。ちょっと生まれが〝高貴〟だったり、〝事件〟があって祟りを恐れたり、何か〝功績〟があったりすると、その人自体を「神」にして「神社」を建ててきた。そうするとことで、新たに伝説が生まれ、時代が過ぎても忘れられずに「死んでも個人自体が生き残って」いく。だから、そこには100年経とうが1000年経とうが、しっかりとした「個人の記録」が残ることになる。

     わかりやすい誰もが知っている例を挙げよう。「高貴」系⇒橿原神宮(神武天皇)、平安神宮(桓武天皇・考明天皇)、明治神宮(明治天皇)etc.「祟り」系⇒北野天満宮・大宰府天満宮(菅原道真)、神田明神(平将門)、香川県坂出市の数々の神社(崇徳院)etc.「功績」系⇒清明神社(安部清明)、田村神社(坂上田村麻呂)etc.…。

     悠久の歴史を感じるなぁ。東照宮(功績系・徳川家康)にでも行きたくなってきた(苦笑)。

     もうちょい、続けるか。時代が移って。文明開化の世になると軍人までが「神」に祀り上げられるようになる。日露戦争の英雄、乃木希典・陸軍大将は〝神になった〟(乃木坂・乃木神社)。同じく日露戦争の英雄で、無敵のロシア・バルチック艦隊を撃破し「世界三大提督」の一人として今でも名を馳せる、東郷平八郎・海軍大将も〝神になった〟(原宿・東郷神社)。東郷が死んだ時、「トウゴウゲンスイデモ シヌノ?」と、ある小学生が言って、それを新聞が書き立てたのは有名な話だ。

     ところが、ここに今までの基準であれば間違いなく〝神になれる〟のに〝神になることを拒否した〟男が出てくる。「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」で有名な山本五十六・海軍大将だ。

     「人は神ではない。誤りをするというところに人間味がある」(山本五十六)。

     そう。忘れてはいけない。人は神には、なれない。周りが勝手に(東郷さんは望んだみたいだが)神に祀り上げてしまうだけのこと。天神様も権現様も元々は「菅原道真」「徳川家康」とう名の人間。神じゃないから、道真は政敵に都を追われた。神じゃないから、家康は鯛の天ぷらを食べて死んだ。

     少年サッカーに目を移す。「常勝チームは全ての面で完璧だ」。そんな風に勝手に常勝チームを「神の領域」に祀り上げてしまう人たちがいる。んっ、気持ちは分かる。僕も「できることならば、完璧であってほしい」とは思う。全ての面で目標にできたら、こんな楽なことはない。だけれども、冷静に考えれば、常勝チームだって少年サッカーのチームだ。「サッカーをうまくなろう!」ということが表向きの第1の目標であっても、実は「少年の人間形成」の方が大事と考えているのが当たり前だ。だって、団員は小学生なんだよ? 完璧であるはずないし、完璧だったら、気持ち悪い。完璧でないからこそ、「サッカーを通じて」の思いは、強いチームだって同じはず。

     なのに。周りは「神なのに…」という。それは思う側の大きな間違いだ。

     今日は、我が県少年サッカー界の「神」候補の筆頭である県NO1チームと練習試合をさせていただいた(まずは御礼を。関係者の皆様。遠路、来ていただきまして感謝です。ありがとうございました)。我がチームのある母が、「県NO1チームの子どもたちも、フツーの小学生なんですね」とつぶやいた。「あたりまえじゃないですか」と僕。

     この日の県NO1チーム6年生の子供たちの行動を紹介しよう。朝、雪明けで荒れたグラウンドを整備していると、「僕等もやります」と自ら願い出て、懸命に手伝う。「優等生」の顔だ。試合中、審判に生意気を言ってイエローをもらう。「生意気盛り」の顔だ。もらえばコーチに怒られて、試合後に神妙に謝りに来る。「素直な子どもの顔」だ。全試合終了後に握手をすれば、頭を掻きながら「テヘヘ」と照れている。「かわいい子ども」の顔だ。みんなが、どこにでもいる小学生の顔。

     そしてサッカーが大好きな少年の顔。
     この日、グラウンドにいた我がチーム・ライバルチーム・KOチームの6年生も同じサッカー少年の顔。
     全員が、いつまでも、その顔を忘れないで欲しい。神ではなく人なのだから。

     それにしても。NO1チームの子は全員がサッカーがウマい。今日は6年生だけでなく3年生と1年生とも試合をしたが、考えられないほどウマい。1年生などは、きっと「県NO1チームより強いチーム」はたくさんあるだろうが、「ウマいチーム」は絶対にないというくらいにウマい。神懸り的だ。あまりにウマいので、その姿に向って、思わず拝んでしまった。

     「我がチームの子も、こんな風にウマくなりますように…」(笑)。

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