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    道具。 

     すっかり秋晴れの毎日。


     この先の亀田一家の「行き場」が話題になっている。協栄ジム・金平会長と亀田オヤジの溝は絶対に埋めることはできないだろうから、移籍は決定的。例の問題を起した次男・大毅と日本でデビュー前の三男・和毅はともかく、長男・興毅は一応、WBA世界ジュニアフライ級チャンピオンなのだ。どのジムもノドから手が出るほど欲しい…とは思っているのだが。手を挙げるところがなかなかない。なぜなら、もれなく、史郎オヤジがついてくるから!だ。

     世界チャンピオンの価値より重い史郎オヤジの存在。
     ある意味スゴいことではある(苦笑)。

     よしっ!僕も史郎オヤジを見習ってみるか?責任をもって〝オムツ〟を取ってやるのも親の役目かも。まず、今の我が身はどうか? と振り返ってみた。うるさく生活のことを「ちゃんとせぇ~!」といろいろ言いたいと思えども、顔を合わす機会が週に3回くらいしかない。サッカーで、「こういうプレーをしろっ!」と思えども、なにせ一度しか試合を見たことがない。会ったとき位は「勉強しろ~っ!」とガミガミ言いたいと思えども、サッサと自分の部屋に行ってしまう。こちらが「離したくない」と思っても、向こうが「離れて行く」。

     史郎オヤジへの道、険し(苦笑)。

     今朝。息子が話し掛けてきた。「あのさ~、スパイクを買いに行きたいんだけど。出勤前に一緒に行ってくれる?」。27日・土曜日が学校公開日(授業参観)で今日がその振替日なのだと言う。おおっ!まだまだ、お前の方で〝大毅〟でいてくれるというのか? よしよし、いいぞ~。僕の中で史郎オヤジ魂がムクムクと頭をもたげてくる。しかぁ~しっ! ここで簡単に「よ~し!」と言えないのが一般のオヤジ。「もう中学生なんだから、自分で行けよ。友達でも誘えっ!」と目を合わせずにブッキラボウにカッコをつけてしまう。すると「いいから。行こうよっ!」。ん? どういう心境の変化だ? 大毅にでも影響されたか? 「仕方がない。行ってやるよ」。最後までカッコつけてしまう。

     史郎オヤジへの道は、富士登山並みに険しい(苦笑)。

     スポーツショップに着いたら別行動。僕も見たいものがある。レフリーウェアコーナーにインナー売り場に、ピステをチェック。ふと、気がついた。いかん、息子にベッタリでないと史郎オヤジには近づけない。自分を捨てて、息子のスパイク選びに寄り添わなくてはいけない。くそう、史郎オヤジへの道は富士山級ではない、マッターホルン級だ。そう思いながら、スパイクコーナーに向かう。すると、見慣れないスパイクを試着している「A市の弁慶」がそこにいた。

     「これにする」。
     足元には白地にワインカラーラインのasicsのスパイク。

     な・なに~!?  キ・キサマというヤツは! 家訓を破る気か? 我が家では「スポーツ用具は何があっても全員adidas!」と神代の昔から決まっていることを忘れたか! オマエは今までオマエの足を守ってきたアディ・ダスラーの思いを踏みにじるというのか? 「勝利の3本線」を裏切るというのか? とノドまで出掛かったが、なぜか止めてしまった。

     またまた、史郎オヤジの道を踏み外してしまった。
     エベレスト級に険しいぞ、この道は。

     グッと言葉を飲み込んで、「どうして、adidasにしないの?」と聞いてみた。「う~ん。KSCのユニホームにスゴイ合ってると思うから。adidasもいいんだけど、一度離れてみたいし~」。くそ~、一緒に来て! と言われたときには「大毅返り」したのか? と喜んだのに。息子よオマエ、誰のお陰でそこまで生意気言えるほど成長したと思っているんだぁ? それとも決別宣言のために呼んだのか、父を。

     どんどん、史郎オヤジ道は遠のく。
     さながら、チョモランマ側ルート・冬期登山ってとこか。

     子供はどんどん歩いていこうとする。心配で心配で…という人も多いだろう。なので、親の方が老骨にムチを打ち、無理して自分ではそれと知らずに険しい「史郎の道」を登っていく。結果、子供は自立の機会を失っていく。ボクシングの試合でプロレスまがいのことをやって世間に怒られ、「どう謝っていいかわからない…」ということになる。

     立派な〝大毅〟の誕生だ。

     子供が興味を持ってやろうとしていることを、親の考えに合わないという理由で止めさせると将来「決断」できない男になってしまわないだろうか?子供が危険なことをしようとしているとすぐに「危ない!」と止めると、自分で危ない!と「判断」できない男になってしまわないだろうか? 気持ち悪いと思わせないといつまでたっても〝オムツ〟は取れない。もちろん、前提として決断・判断できる、生きていく上での「技術」の習得が必要とは、なるけれど。

     大毅は史郎オヤジの自己満足の道具になっている。
     子供は親の自己満足の道具ではない。

     僕は、どう頑張っても史郎オヤジには、なれそうもない(笑)。よかった、よかった。そもそも、「なる」ほうが難しいけど(笑)。まあ、ならないように気をつけよう。

     ショップを出て、2人でマックに入って、お茶をする。初めて、自分の意思でメーカー替えしてasicsのスパイクを買った息子はうれしそう。悔しいけれど、仕方がない。ここはコチラが切り替えて、別の形でオヤジの威厳を保ちにかかるか? 「知ってるか? 今でこそ、asicsなんてステキな名前が付いているが、父ちゃんの頃は『オニツカタイガー』って名前だったんだぞ。で、この間、創始者の鬼塚さんが亡くなったんだぞ~」。「知ってるよ」。ちくしょう、ウンチクオヤジ作戦も失敗か。そういえば、オマエ、なんで今回は友達じゃなく父ちゃんを誘ったんだ?

     「ん?明日から中間テストで友達全員に『行けない』ってフラレたから。1人じゃ寂しいじゃん?」。

     ああっ、そうか…。まだ、親は子供の道具なんだなあ…(苦笑)。


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