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    封印。 

    時々のち 不安定な天気。


     裏口から入ってしまった。相手ベンチの前にいきなり出る。誰も座っていないピクニックチェアーがズラリと並んでいる。緑がすっかり濃くなったサクラの木陰に、だ。椅子のヌシ達は、グラウンドの準備に余年がない。ラインを引く人、残っている体育の授業で使ったであろう学校のラインを高ぼうきで消す人。お母さん達はワサワサとレジャーテーブルの組み立て作業に勤しむ。サッカー文化の根付きを感じる。

     参りました。1回目。

     県NO1チームのホーム小学校に行ってきた。3年生と4年生の練習試合のためだ。公園の並びの自然と静寂の中に、サッカー関係の声だけが響く。落ち着いた何とも雰囲気のある学校だ。グラウンドが校舎より1段低いところにあるので、階段に座れば、ちょっとしたスタジアム気分に浸れる。

     ここが県NO1チームの秘密基地かぁ。

     NO1チームの4年生の子ども達はコーチに促されることなく、それぞれが思い思いのアップをしている。歩きながらのリフティング、浮き球トラップ、2人1組になっての呼びかけながらのドリブル&パス…。大きな声を出すわけではない。揃ってやっているわけでもない。いうなれば、Jリーグのアップ。各人が必要なことを自分で考えやっている。考えさせる指導が行き渡っている。

     参りました。2回目だ。

     グラウンドの奥を見ると、小さい子がボールを追っている。若いコーチとガッチリ体型のコーチが一緒にサッカーを楽しんでいる。1年生だろう。やはり、そんじゃそこらの1年生より上手い。この雰囲気の中で育っていけば、そりゃ自然と上手くなっていくだろう…なんて考えながら、ガッチリ体型コーチにアイサツするため近づいていく。Fコーチ。昨年度の6年監督だ。今年は4年のサブとのこと。

     「今日はよろしくお願いします。最近ブログが更新されてないじゃないですか?」。僕の姿を認め、笑いながらFコーチが話し掛けてくれる。「家に帰って見てください。昨晩、5~6本、UPしましたから。こちらこそ今日はお願いします。全く相手にならないだろうから、本当に申し訳ないのですが…」と僕。「そんなことありません。楽しく試合ができれば、それでいいのです」とニコニコ笑うFコーチ。しばらく談笑。別れ際に「上手いですね、1年生」と聞くと「コイツラ、年長です」とのこと。

     参りました。3回目~。

     9時半。4年のゲームが始まる。10秒で結果は想像できた。個の力が違いすぎる。身に付いている技術が違う。我がチームの子どもはうろたえている。こんなはずじゃない…。そんな思いが表情から滲んでいる。隣に座る我がチーム・4年S監督からゲキが飛ぶ。が、その場その場の「声掛け」でどうにかなる実力差じゃない。付け焼刃が効く相手ではないのだ。1試合目は5-0。我がチームの撃ったシュートは0本。2試合目、3試合目も完敗。

     参りました。4回目。

     次は3年生の試合だ。この日、県NO1チームの3年生の主力は別の大会に行っている。申し込んだ時、「それでもいいか?」とM先生に言われていた。「もちろんいいです」と僕。県NO1チームを体感できれば、それでいい。「逆に、我がチームも習熟度に関わらず、18人全員を使っていいですか?」と聞くと、「当たり前だろ?みんな出せよ」との温かいお言葉。そして試合結果は2-2、1-3、1-3。

     参りました。5回目~。

     試合の合間の練習もシッカリと「やらねばならぬこと」をやっていた。ゲームの中で「満足できなかった」ことのおさらい。次のゲームでやってみよう!をシッカリと確認している。相手が「弱い我がチーム」であっても、「強い○○」であっても、県NO1チームのやることは、あくまでも『今やらねばならぬこと』。そこにブレはない。

     参りました。6回目。

     関係者、父兄の皆様、子ども達に厚く御礼申し上げます。本日はありがとうございました。本当に勉強になりました。今後ともよろしくお願いいたします。

     僕は4年生1試合と3年生1試合を見て、仕事のためお暇をいただいた。K駅から新幹線に乗る。東京に向かう列車の中で、考える。

     糧にしなければならない。試合は全てがそうだが。特に今日のことを糧にできるかどうか?で今後の我がチーム全体の方向性が大きく違ってくる。僕は始める前から「参る」ことを分かっていた。いや、来る前から分かっていた。「こうなる」からこそ、来たといっていい。父兄と子どもに分からせたかったのだ、現実を。分からせたかったのだ、全国レベルを。その上で、問い掛けねばならない。

    「どうする?目指す?」「どうします?目指させます?」。

     その上で、「我がチームのコーチを信じてくれますか?」も確認しよう。例えば、「蹴る」ことを暫く封印したならば「勝てない試合」が続くかもしれないからだ。順番として、チームよりも全員の個を優先しなければならないときもあるだろうし。我慢が必要な場面も多々出てくる。もし、子どもと父兄が「目指しません」と言ったならば、それはそれで尊重をしなければならない。

     逆に。もし、「目指す」ことになったならば、僕も含めたコーチ側は「参りました」という言葉を封印しよう。「参った」ままでは、目指せない。泥を噛もうが、砂を齧ろうが。「もう1回!お願いします」と言い続けねばならないだろう。目指すのだからこそ、「参った」という白旗だけは揚げられないことを肝に念じよう。

     参りました。7回目は封印だ。

     会社について暫くすると、M先生からの携帯電話が鳴った。「今、会場に来たのだけれど。お前は試合に来ないのか?オレの作った野菜を持ってきたぞ~」。わざわざ6年生の会場から駆けつけてくれたらしい。細かいお心遣いありがとうございます。そのお気持ちに、参りました~。

     あっ!早くも言ってしまった…7回目(笑)。

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