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    秋霜烈日 

     夕立もあったらしい。


     キムタク主演の人気ドラマ・スペシャル版「HERO」が始まってすぐだった。テロップで流れたニュース速報はヒデの引退を伝えた。まだ早い、まだまだできる、色んな意見があるだろう。でも、ヒデ本人が決めたこと。まずは「お疲れさん!」と皆で声を掛けてあげよう。

     僕は月9の帯で放送していたHEROは見ていない。世の大半のお父さん同様に、その頃はまだまだ会社にいる時間。見られるわけがない。たまたま今日は、体調が悪いので早く帰ってきただけ。こういう機会は滅多にないと思い、テロップが流れた後もヒデのことを思いながら、HEROを見続けた。

     キムタクファンのママさんたちには余計なことだが、一応説明を。キムタクは検事。かなりハチャメチャな検事。スーツも着ずに、ジーンズにTシャツの検事。でも、正義感あふれる真実を追究する検事。この検事を中心に事件を起訴するまでの取り調べ、ガサ入れなどの人間模様を描くドラマ。 印象的なシーンは、キムタクが検事バッジを握る場面。いい加減なカッコをしたクリュウ検事(キムタク)も、検事の魂ともいえる、このバッジには、一入の思いがあるらしい。

     このバッジは、真ん中に真っ赤な玉があり、四方に白の直線が伸びている。いわゆる「秋霜烈日」を象ったといわれるものだ。秋の霜は冷たく厳しく、夏の日差しは烈しく照ることから転じて、刑罰・権威の厳しくおごそかなことを「秋霜烈日」という。

     ドラマの中で、キムタクも言っていたが、日本の検事は一人一人が独立している。組織の必要性上、検察庁というものがあり、各地検に別れてはいるが一人一人の権限は平等に確立されている。検事総長であろうが、ヒラのド田舎の検事だろうが検事として持っている権限は同じである。つまり、誰に邪魔されることなく、全員一人一人が「一つの検察庁」として「秋霜烈日」の志を持ち、悪に立ち向かうわけだ。そういう意味で検事とは、ひたすら孤高の人であり、HEROである。

     ヒデのサッカーは、まさに秋霜烈日だった。周りが着いていけないほどに厳しい姿勢を貫いた。自分の夢のために、日本の夢のために、ひたむきに愚直にサッカー打ち込む姿は、ただただ正義のために闘う孤高の検事を思わせることが何度もあった。厳しさ故に叩かれる、信念のために妥協を許さないところも同じだろう。

     ヒデの引退のニュースが人気の検事ドラマの中で流されるのも何か因縁を感じる。

     これからの日本代表は、オシムのもとで全員が「秋霜烈日」の思いを持って、サッカーをするべきであろうし、そうでなければ日本は世界を勝ち抜けないと思う。W杯を目指す軍団は、孤高の検事がその権限をまとめて巨悪に対処する東京地検特捜部と同じ「秋霜烈日軍団」でなければならない。

     自分に厳しい「HERO」だらけの日本代表を何年か後にヒデに見せたい。

     見せなければならない。




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